隣の人たちとの間に感じるんだ、壁を


「おはよー古泉くん!」

「おはようございます。」

「よ、古泉はよっす。」

「おはようございます。」




挨拶をくれるクラスメイト達に、いつもの通り丁寧に返す。

正直同い年に敬語を話し続けるのは、
慣れたとはいえ疲労を感じるものだ。


もちろんそんなこと顔に出したことはないし、



口にしたことも…。




「あ。」




そういえば一人だけ話したっけ。

「何、どうかしたの?古泉くん。」



「いや、なんでもないです。」

「そう?ならいいんだけど。
あ、そういえばさ。」


「はい?」
ほら、やっぱりこの程度で納得する。



(やっぱり彼は特殊だな…。)

言えば特殊ってなんだ、オレは一般庶民の代表だと

立て板に水のごとく反論してくるだろうけど。



でも、やっぱり特別なんだと思う。



彼は僕が作っていた壁を最初から睨みつけていたから。
笑顔の内側を感じ取って「うさんくさい」と思っていたから。



…彼は自分で僕との壁をつくってぶっきらぼうに発言しているつもりだろうけど。




実際は。

壁をすりぬけて僕の本心を引きずり出している。

きっと無意識だろうけど。




「…さて、今日はどういう顔を引っぱり出されるんでしょうね。」




「?どうしたの古泉くん?」




(うるさいな)
「いいえ、なんでもありません。」



彼以外にはきっと見えない顔を。


楽しみですよ。




end



キョンってすごいなあといつも思っています。
あんな息子が欲しい。(おーい)


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